fate
「今日って、いい夫婦の日ですねー」
『あー、ほんとだ。
いい夫婦になれるかなー?将来』
そんなこと、あたしに聞かれても困る。
あたしのことバカにしてるの?
「――…なれるんじゃないですか?
在原さんなら…」
『そっかなー?…なれたらいいけど』
あの彼女と、“いい夫婦”になるなんて嫌。
息が詰まって、何も言えなくなっていると、
『どした?眠たくなった?
添い寝してあげよっか?』
と、優しい口調で囁かれた。
「えっ!?何言ってるんですか!」
途端に、心臓のドキドキが再発する。
『可愛い。
ごめんね、変なことばっか言って』
「そんな可愛いって言われたら…勘違いしてしまいますよ?」
ほんとに。
なんでこんなに、あたしを虜にしていくんだろう……。
『ん?勘違いじゃないかもよ?』
期待させるようなことばっかり。