fate
ほんとに、結婚してしまうんだったら―…
せめてそれまで。
法的に人のモノになってしまうまでは、
側に居させてください。
「はるかちゃん、在原さんから電話ー」
ニヤニヤしそうになる顔をどうにか引き締めて、
祥子ちゃんから転送された電話を取る。
「お電話代わりました、業務グループの上田です」
『おはよう、ハニー♪』
「えっ、あ、おはようございますっ…」
在原さんは嬉しそうに笑っているけど、
あたしは明らかに動揺してしまっている。
周りに気づかれたら大変なのに。
「どうされたんですか?」
『うん?声が聞きたかったから。
あ、日曜日のご予定は?』
思いがけない言葉に、頭の中が混乱してしまう。
「えーと、その件でしたら、いつでも大丈夫ですよ」
周りの人に不審に思われないように、当たり障りの無い言葉を探す。