fate

ほんとに、結婚してしまうんだったら―…

せめてそれまで。

法的に人のモノになってしまうまでは、
側に居させてください。






「はるかちゃん、在原さんから電話ー」

ニヤニヤしそうになる顔をどうにか引き締めて、
祥子ちゃんから転送された電話を取る。

「お電話代わりました、業務グループの上田です」

『おはよう、ハニー♪』

「えっ、あ、おはようございますっ…」

在原さんは嬉しそうに笑っているけど、
あたしは明らかに動揺してしまっている。

周りに気づかれたら大変なのに。


「どうされたんですか?」

『うん?声が聞きたかったから。
あ、日曜日のご予定は?』

思いがけない言葉に、頭の中が混乱してしまう。


「えーと、その件でしたら、いつでも大丈夫ですよ」

周りの人に不審に思われないように、当たり障りの無い言葉を探す。
< 81 / 186 >

この作品をシェア

pagetop