fate

砂浜に向かって階段状になったところに、ある程度の距離を置いて座る。

と言っても、どれくらいの距離が適切なのかよく分からないけど。


犬の散歩をしている人や親子連れが何組か居る。
ちょっと寒いけど、なんか幸せな空間だなー。

「初デートだね」


「え!?」

まぁ、そういうことになるのかな…。
でもそう言われると、ますます緊張してしまう。


「てか、はるかちゃんが俺のこと好きなんか言ってくれると思わなかったよ」

真っ直ぐ見つめてくる目を、驚いて見つめ返す。


分かってて言ったくせに。

「あたしのほうがびっくりしてるんですけど……

在原さん彼女いる――」


言いかけたとき、優しく腕を引き寄せられた。


「えっ!?え―!?」

在原さんの鼓動が、伝わってくる。
すごく、早い。



「――ずっと、こうしたかった…」

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