fate
「こんなに近づけるなんて思ってなかったから…。
ほんと夢みたいです」
フリスビーが投げられて、ラブラドールが走り出した。
「夢じゃないよ。
てか敬語禁止ね」
そう言いながら、くっついていた体が離されて、
顔と顔が近づいた。
「え…無理です無理です!恥ずかしい…!」
熱くなった顔を、在原さんの首元にうずめる。
「だから、敬語禁止だってー。
顔上げて?」
「嫌。恥ずかしいー…」
首をぶんぶん横に振って、在原さんのダウンジャケットを握り締めていると、
大きな手が頭をなでてくれた。
「俺とキスするの、嫌?」
そんなこと…
嫌って言えるわけないのに。
「嫌……
じゃないです」