fate
月と星
そんなに会えるわけじゃないから、せめて写真を見つめよう…なんて気持ち悪いかな。
社員旅行のとき一緒に撮った写真は、ほんとはいつも見えるところに飾っておきたかった。
でも、家族に見られてしまうとなんか恥ずかしいから、きっちりアルバムに入れてある。
あたしと在原さんはカメラ目線だけど、薫ちゃんは変な方向を見ている。
酔っ払い?
ピースしている左手に、ばっちり指輪が写っているから、それを見るたびにペンで塗りつぶしてやりたくなる。
でもそれは、消せない事実だからしかたがない。
逆に、そこを目立たせてしまうし。
声が聞きたいな…。
もう一週間も電話してない。
でももうそろそろ日付が変わるし、迷惑になるかも。
着信履歴とにらめっこしていると、以心伝心したみたいに電話がかかってきた。
『今日もお疲れ。ごめんね遅くに』