fate
ほのかに光るパネルの前に、手をつないで並んで立っている。
ここまで来る車の中でも、何も言わず手をつないだままで。
赤信号で止まる度、手の甲にキスしてくれた。
「どこがいい?」
「……じゃあ、その白い部屋かな」
ボタンを押してから、部屋番号の印字された紙を取ってエレベーターに乗り込む。
まだ完成して1年も経ってないその部屋は、新しい匂いがした。
「ヤバい…まじ緊張するーーー」
気を紛らわそうとしているのか、お風呂にお湯を溜めたり照明の調節をしたりしている在原さんを、ぼんやり見つめていた。
「……おいで」
部屋の真ん中に突っ立っていたあたしの手が引かれ、
オレンジの柔らかい光を映すベッドが近づいてくる。