僕と彼女とレンタル家族
第24話 「お見舞い1」
どんな一日を過ごしても、必ず明日がやってくるように在過も悩みながら仕事をしていた。喧嘩をして悩んでいても、早番という出勤は訪れ、テンションが落ちながらも一日を過ごした。
何を話しても、何を言われても、とにかく笑顔で過ごす。できるかぎりいつもの自分を装うように、在過はいつも通りに表情を偽った。仕事が終わる16時には、早々に引き継ぎをして帰宅の準備をする。更衣室で先輩達が飲みに行く話をしていたが、在過は断った。
「すいません、これから病院へ行くので」
「あぁ、そうだったな。なら、今度の夜勤一緒だから、夜勤明けに行こうぜ」
「いいですね! ぜひ行きたいです」
「おっし、なら行きたい場所あるから予約入れとくな」
「ありがとうございますっ!」
施設長補佐と会話を終えた在過は、歩きながら病院へ一本の電話を入れる。家族以外面会できないとは言っても、精神状態によっては断られることがある。いつものように確認電話を入れた在過は、一度自宅に帰り、神鳴の母親である雷華から頂いたお見舞いの品物と冷蔵庫からいつものプリンをカバンにしまう。
自宅前に呼んでおいたタクシーに乗り込み、総合病院へと向かう。日課と言えるお見舞いも、在過自身の精神状態が乱れていることもあり苦になっていた。また、携帯画面に視線を移し神鳴に送っていたメッセージに、既読はついていたが返信はない。
しかし、SNSでも繋がっていることもあり神鳴が投稿した通知が頻繁に表示される。
「久しぶりの実家だぁ~。彼氏に虐められて逃げてきちゃったw」
「ずっと我慢してたから、なんか解放された気分」
「今日仕事休んじゃったけど、ママとお買物ぉ」
「神鳴ちゃん帰宅したら。遊べなかったメルト君と徹夜でゲーム開始なのだ! 楽しみすぎ」
「神鳴ちゃん天使登場っ。ママと来たデパートで可愛いフィギュアゲット!」
それは、苦しんでいる神鳴が必死に明るく振舞っている……そんな投稿がSNS上に投稿されていく。数分おきに通知画面が表示される文面は、どれも似たような言葉が並べられる。友達と遊べなかった、我慢していた……辛かったと言った内容。在過は、そんな内容から考察する。
彼女もまた、離れるきっかけが欲しかっただけなのではないか? 両親のことや、妹の事情を話していた時は大丈夫な気がしていた。
だが、その話を聞いた今までの元恋人は在過から離れていく人ばかり。そんな過去の話も伝えていた為、神鳴は同じように消えることが出来なかった。なら、自然な形で別れるにはどうしたらよいのか?
――第三者による後押し。
在過は、数ヶ月間ではあったが、神鳴という女性は自分の意志と言うよりは第三者の意見が自分の意見となっている感覚があった。母親の意見ではなく、神鳴自身の気持ちを聞きたいと言った時も、黙ってしまい母親が助け舟を出す。
一人娘なのだから、大切に思う母親の気持ちは素晴らしいと思う。しかし、在過からしてみれば25歳にもなって、電話を繋げ母親に伝える神鳴の行動が気持悪いと内心思っている。また、娘に異常と思えるほどに依存している雷華の行動と対応に関して、在過は気持ち悪いほど拒絶反応を起こしていた。
また、数秒から数分感覚で投稿される投稿内容に、どんな気持ちで投稿しているのか?呆然と内容を見つめる在過は、大量のDM通知が届いていることに気づく。SNS上で特定の人物とやり取りすることができるダイレクトメッセージ機能。
メールアイコンをタップすると、ズラッと並ぶ通知。在過は、通知のタイトル情報から額に脂汗がにじみ出る。一番最新のDMタイトルが「土下座男の末路」と書かれたメールを開いた時だった。
「お客さん? お客さん!」
「あっすいません」
「着きました。3149円になります」
大量に届いていたDMの内容も気になる在過だが、あとで確認すればいいかと考え携帯をカバンに入れ、5千円札で支払いをする。
タクシー代のお釣りを受け取り、病院内の受付に向かう。少なくても週に1度来ていることもあり、一部の受付員に顔と名前が覚えられているほどだった。
「少し前に電話しました近藤です。妹の面会に来ました」
「あぁ~はいはい近藤さんですね。あと……担当医から今後についてのお話しがあるそうなので、面会が落ち着きましたら再度コチラ来てください」
「わかりました」
在過は、一度外に出ると隣接した病棟へ向かった。
何を話しても、何を言われても、とにかく笑顔で過ごす。できるかぎりいつもの自分を装うように、在過はいつも通りに表情を偽った。仕事が終わる16時には、早々に引き継ぎをして帰宅の準備をする。更衣室で先輩達が飲みに行く話をしていたが、在過は断った。
「すいません、これから病院へ行くので」
「あぁ、そうだったな。なら、今度の夜勤一緒だから、夜勤明けに行こうぜ」
「いいですね! ぜひ行きたいです」
「おっし、なら行きたい場所あるから予約入れとくな」
「ありがとうございますっ!」
施設長補佐と会話を終えた在過は、歩きながら病院へ一本の電話を入れる。家族以外面会できないとは言っても、精神状態によっては断られることがある。いつものように確認電話を入れた在過は、一度自宅に帰り、神鳴の母親である雷華から頂いたお見舞いの品物と冷蔵庫からいつものプリンをカバンにしまう。
自宅前に呼んでおいたタクシーに乗り込み、総合病院へと向かう。日課と言えるお見舞いも、在過自身の精神状態が乱れていることもあり苦になっていた。また、携帯画面に視線を移し神鳴に送っていたメッセージに、既読はついていたが返信はない。
しかし、SNSでも繋がっていることもあり神鳴が投稿した通知が頻繁に表示される。
「久しぶりの実家だぁ~。彼氏に虐められて逃げてきちゃったw」
「ずっと我慢してたから、なんか解放された気分」
「今日仕事休んじゃったけど、ママとお買物ぉ」
「神鳴ちゃん帰宅したら。遊べなかったメルト君と徹夜でゲーム開始なのだ! 楽しみすぎ」
「神鳴ちゃん天使登場っ。ママと来たデパートで可愛いフィギュアゲット!」
それは、苦しんでいる神鳴が必死に明るく振舞っている……そんな投稿がSNS上に投稿されていく。数分おきに通知画面が表示される文面は、どれも似たような言葉が並べられる。友達と遊べなかった、我慢していた……辛かったと言った内容。在過は、そんな内容から考察する。
彼女もまた、離れるきっかけが欲しかっただけなのではないか? 両親のことや、妹の事情を話していた時は大丈夫な気がしていた。
だが、その話を聞いた今までの元恋人は在過から離れていく人ばかり。そんな過去の話も伝えていた為、神鳴は同じように消えることが出来なかった。なら、自然な形で別れるにはどうしたらよいのか?
――第三者による後押し。
在過は、数ヶ月間ではあったが、神鳴という女性は自分の意志と言うよりは第三者の意見が自分の意見となっている感覚があった。母親の意見ではなく、神鳴自身の気持ちを聞きたいと言った時も、黙ってしまい母親が助け舟を出す。
一人娘なのだから、大切に思う母親の気持ちは素晴らしいと思う。しかし、在過からしてみれば25歳にもなって、電話を繋げ母親に伝える神鳴の行動が気持悪いと内心思っている。また、娘に異常と思えるほどに依存している雷華の行動と対応に関して、在過は気持ち悪いほど拒絶反応を起こしていた。
また、数秒から数分感覚で投稿される投稿内容に、どんな気持ちで投稿しているのか?呆然と内容を見つめる在過は、大量のDM通知が届いていることに気づく。SNS上で特定の人物とやり取りすることができるダイレクトメッセージ機能。
メールアイコンをタップすると、ズラッと並ぶ通知。在過は、通知のタイトル情報から額に脂汗がにじみ出る。一番最新のDMタイトルが「土下座男の末路」と書かれたメールを開いた時だった。
「お客さん? お客さん!」
「あっすいません」
「着きました。3149円になります」
大量に届いていたDMの内容も気になる在過だが、あとで確認すればいいかと考え携帯をカバンに入れ、5千円札で支払いをする。
タクシー代のお釣りを受け取り、病院内の受付に向かう。少なくても週に1度来ていることもあり、一部の受付員に顔と名前が覚えられているほどだった。
「少し前に電話しました近藤です。妹の面会に来ました」
「あぁ~はいはい近藤さんですね。あと……担当医から今後についてのお話しがあるそうなので、面会が落ち着きましたら再度コチラ来てください」
「わかりました」
在過は、一度外に出ると隣接した病棟へ向かった。