僕と彼女とレンタル家族
第47話 「家族会議6」
そんな性格を利用し、言い方を悪くすれば在過の発言は罠であった。SNSでフレンドになったと言う男性の件は本当であるが、食事したりデートした際に男性の話をすると言う部分は嘘だった。数ヶ月間と言う短い期間ではあるが、放った発言によって神鳴がどういう発言をするのか確信を持っていた。
「かんな、そんなことしてないもん」
少しは違う結果になる事を期待していたかもしれない在過だが、予想通りの結果に呆れて笑みがこぼれてしまう。そんな心情を知らない神鳴と雷華は、お互いを支えあうように寄り添い、怒っているのか……または憎んでいるのか鋭い視線で在過を捉える。
しかし、対面している大迦だけは違っていた。いや、在過は違って見えていた。先ほどまでの口調や仕草、表情の動きに違和感を覚える。
「ふむ。君の言いたいことは理解した。このまま話し合っても、お互い同じ意見を交換し合うだけになってしまうからね。近藤君、君はまだ若い。傷つけたくはないし、幸せになってもらいたいと思っているからハッキリ伝えよう」
ゆったりとした口調から、喋る会話のスピードあがる。
「娘と別れた方がいい。この場を持って、別れなさい」
急な話の方向性を切り替えてきた大迦だが、ここまでの会話などから在過はこうなる結果も予想していた。まだしっかりと解決していないにも関わらず、急な別れろと言う話に切り替えることに追求することもできるだろう。しかし、ここはそうするべきではない。
そう、少しずつであるが篠崎家と言う家族像が見える。世の中には家族に恵まれていながらも、家族に殺される子供がいる。その逆も然り。
在過とは違った理由で、篠崎神鳴と言う女性もまた可哀そうな立場にあると解釈していた。
「……どうして神鳴さんの両親に別れろと言われて、はい分かりました……と言うと思いますか?」
「ふむ。言わないと分からないか」
「わかりません」
「先ほども言ったが、娘には何不自由なく与えている。君にそれができるのかい? 妹さん障害者なんだろ?」
「……初対面の相手に、いきなり障害者とは失礼じゃないですか? 確かに、診断結果としては障害者と言う扱いになります。世間一般的にも、精神障害者と言うことになるでしょうが自分の家族でも、それ以外だったとしても一人の人として俺は接しますけどね」
「事実を事実といって何が悪いのかな」
ゆっくりと我慢をすることが難しくなる在過は、貶すかのように、見下すかのように笑う大迦の姿に怒りが膨れ上がっていく。
「まぁいい。娘は私の宝物だ、不幸になると分かっていて君の側に居させたくないんだよ」
「なぜ、不幸になると?」
「君は長男だったね。将来を考えた時に、娘を妹さんの介護に苦しめさせるつもりかい? 娘はね貯金が出来ない。お金にも、生活にも困らない生活をさせて来たからね。そんな娘と暮らしていくと言う事は、全て君が与えなくてはいけない。君にできるのか?」
これが俗に行く親バカと言う人なのかもしれない。そんな言葉が在過の脳裏に現れ、むしろ両親の側にいる間ずっと娘さんは成長できないんではないのか? と言う不安さえも襲う。
「そうですね。娘さんの現在の貯金残高が1000円未満と言う事は知っています。欲しいものがあれば、パパやママが買ってくれると聞いてもいましたので、俺としては娘さん本人が心配ですがね。ただ、その質問にお答えするとしたら、二つです」
「ほう」
「一つ目は、俺も人の事を言えた立場ではありませんが、金銭面ではかなり苦渋を飲んできましたから考えて管理しているつもりです。仮に、今後もお付き合いして結婚となったとしても、生活費等などは男の俺がすべて払うものと考えています。ですが、欲しい物などに関しては特別なことがない限り払いません。俺より社会人経験が圧倒的に長いですからね、さすがに自分で払うべきではないでしょうか」
「……」
「2つ目は、娘さん本人にもお伝えした事ですが俺の家族に関することで、娘さんに負担を背負わせることは絶対にありません。これは俺の家族であり、俺の課題です」
「一人では限界が来ると思うがね。私は1円も君に貸すつもりはないよ」
「そうですね。過去に何度か自暴自棄になるほど経験したこともあります。そんな時に助けてくれた恩人のおかげでココまで来ました。まぁ、そんな恩人も消去されてしまいましたけどね。万が一借りるような状況になったとしても、娘さんの家族から借りるつもりは一切ありませんけどね。まぁ、今後もお金を借りるような状況にならないように働いて貯金もしているわけなので、そんなことにはなりませんが」
嫌味っぽく、苦笑しながら言葉を吐き捨てる。
「言葉では何とでも言える。現に、娘は泣かされて苦しめられている。何度でも言うが、別れなさい」
「嫌です。神鳴さん本人が別れを望むのであれば分かりますが、両親に言われて、はい別れますとは言えません。ですから……。神鳴の気持ちが知りたい」
在過は真剣な表情で、泣きじゃくった神鳴に問う。
「かんな、そんなことしてないもん」
少しは違う結果になる事を期待していたかもしれない在過だが、予想通りの結果に呆れて笑みがこぼれてしまう。そんな心情を知らない神鳴と雷華は、お互いを支えあうように寄り添い、怒っているのか……または憎んでいるのか鋭い視線で在過を捉える。
しかし、対面している大迦だけは違っていた。いや、在過は違って見えていた。先ほどまでの口調や仕草、表情の動きに違和感を覚える。
「ふむ。君の言いたいことは理解した。このまま話し合っても、お互い同じ意見を交換し合うだけになってしまうからね。近藤君、君はまだ若い。傷つけたくはないし、幸せになってもらいたいと思っているからハッキリ伝えよう」
ゆったりとした口調から、喋る会話のスピードあがる。
「娘と別れた方がいい。この場を持って、別れなさい」
急な話の方向性を切り替えてきた大迦だが、ここまでの会話などから在過はこうなる結果も予想していた。まだしっかりと解決していないにも関わらず、急な別れろと言う話に切り替えることに追求することもできるだろう。しかし、ここはそうするべきではない。
そう、少しずつであるが篠崎家と言う家族像が見える。世の中には家族に恵まれていながらも、家族に殺される子供がいる。その逆も然り。
在過とは違った理由で、篠崎神鳴と言う女性もまた可哀そうな立場にあると解釈していた。
「……どうして神鳴さんの両親に別れろと言われて、はい分かりました……と言うと思いますか?」
「ふむ。言わないと分からないか」
「わかりません」
「先ほども言ったが、娘には何不自由なく与えている。君にそれができるのかい? 妹さん障害者なんだろ?」
「……初対面の相手に、いきなり障害者とは失礼じゃないですか? 確かに、診断結果としては障害者と言う扱いになります。世間一般的にも、精神障害者と言うことになるでしょうが自分の家族でも、それ以外だったとしても一人の人として俺は接しますけどね」
「事実を事実といって何が悪いのかな」
ゆっくりと我慢をすることが難しくなる在過は、貶すかのように、見下すかのように笑う大迦の姿に怒りが膨れ上がっていく。
「まぁいい。娘は私の宝物だ、不幸になると分かっていて君の側に居させたくないんだよ」
「なぜ、不幸になると?」
「君は長男だったね。将来を考えた時に、娘を妹さんの介護に苦しめさせるつもりかい? 娘はね貯金が出来ない。お金にも、生活にも困らない生活をさせて来たからね。そんな娘と暮らしていくと言う事は、全て君が与えなくてはいけない。君にできるのか?」
これが俗に行く親バカと言う人なのかもしれない。そんな言葉が在過の脳裏に現れ、むしろ両親の側にいる間ずっと娘さんは成長できないんではないのか? と言う不安さえも襲う。
「そうですね。娘さんの現在の貯金残高が1000円未満と言う事は知っています。欲しいものがあれば、パパやママが買ってくれると聞いてもいましたので、俺としては娘さん本人が心配ですがね。ただ、その質問にお答えするとしたら、二つです」
「ほう」
「一つ目は、俺も人の事を言えた立場ではありませんが、金銭面ではかなり苦渋を飲んできましたから考えて管理しているつもりです。仮に、今後もお付き合いして結婚となったとしても、生活費等などは男の俺がすべて払うものと考えています。ですが、欲しい物などに関しては特別なことがない限り払いません。俺より社会人経験が圧倒的に長いですからね、さすがに自分で払うべきではないでしょうか」
「……」
「2つ目は、娘さん本人にもお伝えした事ですが俺の家族に関することで、娘さんに負担を背負わせることは絶対にありません。これは俺の家族であり、俺の課題です」
「一人では限界が来ると思うがね。私は1円も君に貸すつもりはないよ」
「そうですね。過去に何度か自暴自棄になるほど経験したこともあります。そんな時に助けてくれた恩人のおかげでココまで来ました。まぁ、そんな恩人も消去されてしまいましたけどね。万が一借りるような状況になったとしても、娘さんの家族から借りるつもりは一切ありませんけどね。まぁ、今後もお金を借りるような状況にならないように働いて貯金もしているわけなので、そんなことにはなりませんが」
嫌味っぽく、苦笑しながら言葉を吐き捨てる。
「言葉では何とでも言える。現に、娘は泣かされて苦しめられている。何度でも言うが、別れなさい」
「嫌です。神鳴さん本人が別れを望むのであれば分かりますが、両親に言われて、はい別れますとは言えません。ですから……。神鳴の気持ちが知りたい」
在過は真剣な表情で、泣きじゃくった神鳴に問う。