俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
甘毒エマージェンシー

『目を開けて、よく見ていろ。一生を約束した男を』


 二度目のキスをされたとき、ぎゅっと瞼を閉じる私に、彼は挑発的な視線を向け続けてそう言った。

 私は彼と、生涯離れられない契約を交わしている。愛し合っているわけではないのに、ほかの人との結婚はできないだろうとお互いに思っている、不思議な関係。

 いつからか、それが徐々に変わり始めた。彼はその瞳に情欲を滲ませ、美しい獣と化して翻弄してくる。私はそれを、恍惚として受け入れる関係に。

 目を見つめたままするキスの羞恥心は尋常じゃなく、より感度が研ぎ澄まされ、淫らで。彼の瞳にとろけた自分が映されているのが耐えられず、あのときはギブアップして逃げてしまった。

 しかし今は、この目に焼きつけたいとすら思う。私をベッドに組み敷き、余裕のない表情で揺さぶる愛しい姿を。


「……つぐみ、もう一回」


 猛々しく肌を打ちつけながら、官能的な掠れた声が私の鼓膜まで愛撫する。
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