俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
誘惑アプローチ
入籍した翌日、私たちはお互いの上司や総務などの重要な人だけに報告した。
すると、なんと私たちが空港内で抱き合っていたという噂をすでに耳にしていたというではないか。やはり社内一有名な副操縦士のスキャンダルは光の速さで広まるらしい。
会社では旧姓を使うし、入籍についてもあまり公にしないでほしいとやんわり口止めしておいたが、情報が漏れるのも時間の問題だろう。
結婚話から逃れたい千里さんにとってはそれが目的でもあるため、自然に任せることにする。私としては周囲の目が怖すぎて、彼の妻だとは知られたくないのが本音だけれど。
私がしなければならないミッションはもうひとつ、両親への報告だ。母はともかく、父が取り乱すのは予想がつくので少々気が重い。
仕事を終え、夕食も済ませたところで意を決して実家の電話番号をタップした。今夜は千里さんは福岡でステイしているので、心置きなくリビングのソファに座って電話をかける。
出たのは父で、私からだとわかるとあからさまに嬉しそうな声を上げた。少しだけたわいない話をしたあと、私は父のテンションを遠慮なく叩き落とす。