俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
にっこり笑うとてもポジティブな彼女の言葉に、私は再びギクリとする。
つまり、千里さんとのなれそめを話してほしいと? それは非常に困る……! 心を射止めたわけでも愛されているわけでもない、ただ利害が一致しただけの関係なのだから。
「いやぁ……人並みだと思いますよ? そんなたいしたなれそめじゃないですから」
目を泳がせてさりげなく逃れようとする私に、宮路さんが真顔でずいっと迫ってくる。
「蒼麻さん、自覚を持って。あの天澤さんに見初められただけでたいしたことなんだから! それと、宮路玲香のプライドを傷つけたのは自分だっていう自覚もね」
「……やっぱり私を恨んでませんか?」
「そ~んなことないわよ、気のせい気のせい」
彼女はあからさまにわざとらしく返すので、恐ろしさが一周回って笑えてくる。半分冗談、半分本音ってとこだろうか。
終始タジタジな私をよそに、彼女は高級そうな腕時計を見下ろして「あら、こんな時間」と目を丸くする。
「もう行かなきゃ。ねえ、美紅からあなたの連絡先聞いてもいい?」
「はい、どうぞ」
「ありがと。お店決めるから、蒼麻さんの苦手なものとか予算があればまた教えてね」