俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 宮路さんはそう言って綺麗なCAスマイルで手を振り、オフィスに向かって颯爽と歩いていく。彼女のモデルさながらの後ろ姿を見送り、私はようやく脱力する。

 結局、食事には行くことになりそうだ。宮路さんと行くのが嫌なわけではなく、根掘り葉掘り聞かれるかもしれないという新たな不安で、自然に小さなため息がこぼれていた。


 宮路さんから連絡があったのは、翌日の夜だった。

 メッセージでも私の希望を聞いてくれて、予算は低めなら助かると正直に伝えると、さっそく候補を挙げてパパッと決めていた。この辺りの気遣いや行動の早さはさすがだと思う。

 さらに〝フレンドリーに名前で呼んでよ、つぐみちゃん〟と言うので、私もこれからは玲香さんと呼ぶことにする。

 ところが、またひとつ問題が発生した。明日からまた国際線勤務の千里さんに、寝る前に顔を合わせたわずかな時間を使って相談する。

 お風呂上がりにミネラルウォーターを飲もうとした彼が、リビングのソファに座ってスマホを眺めている私を怪訝そうに見る。
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