俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 え?と脳が混乱し、真顔で固まっていると、彼の口角がいたずらっぽく持ち上がった。


「ってことにしておいてもいいぞ。毎日たっぷり愛して甘やかしたい、ってプロポーズされたとでも」


 続きの言葉を口にされ、今のはなれそめを聞かれたときの答え方の一例だったのだと気づき、私は急激に恥ずかしくなった。

 ま……まぎらわしい! 実はそうだったのかと、ありえないのにちょっとびっくりしてしまった。それに、偽プロポーズのセリフだけ甘ったるい声で言わないでほしい。


「デタラメすぎて言えるわけないでしょう!」


 顔が赤くなっているのを自覚しながら憤慨すると、彼はおかしそうな笑いを残してさっさと自室に向かっていった。私はソファにもたれて両手で顔を覆う。

 ああもう……完全に手のひらの上で転がされている。結局悩みは解消されないままだし。

 さっきのセリフが本当だったらいいのに、と正直思っている自分もいて、どこか物足りない気分になった。

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