俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
そんな俺の思惑に難色を示したのは、高校時代からの友人である泉だ。
たまたま航空業界を目指していた俺たちは意気投合し、今日に至るまでずっと励まし合いながらやってきた。
泉は昔、『いつか千里が操縦する飛行機を僕が誘導してあげるから』と宣言していたが、有言実行できているのは俺にとっても嬉しいことだ。
泉は、女性関係の話も悩みも、俺がすべてを話せる唯一の存在。今回の件についても、打ち明けられるのは後にも先にも彼しかいない。
つぐみが引っ越してきた数日後、マンション内のバーラウンジで泉と会った。住人の共用施設であるここは時々利用しているが、そのほとんどは泉が相手だ。
「千里、本当に結婚する気なのか? あんなに性格のよさそうな子を巻き込むのかよ」
ことの顛末を話すと、彼の整った顔が心配そうに歪んだ。偶然ターミナルでつぐみに会って好印象を抱いたらしく、彼女を利用するような俺の思惑には否定的なのだろう。
「階堂さんの件の恨みを晴らしたいって気持ちはわかるけど、娘のあの子は関係ないのに」
「別に、そのためだけに結婚を決めたわけじゃない。あいつも生活に困って俺に泣きついてきたんだから」