俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
俺には俺の、つぐみにはつぐみにとっての都合のいい理由がある。打算的なのはお互い様だ。
しかし、泉はあまり納得できていない様子で、ため息を吐き出す。
「千里の薄情さを知ったら、蒼麻さんは嫌気が差すんじゃないか」
「そうなったとしても、俺と一緒にいるしかない。少なくとも今は、ほかに行く場所も金もないんだから。むしろ嫌がっても離れられないほうが、父親はより苦しんでいいかもしれない」
「悪魔だな……」
「なんとでも」
口元に歪んだ笑みを浮かべて呟く泉に、素っ気なく返した。俺が非情な男だってことは、自分が一番よくわかっているから。
泉は神妙な面持ちになり、透明なカクテルが注がれたグラスを眺めて言う。
「そう簡単にうまくいくとは思えないけどな、僕は。千里って基本冷たいけど、優しい部分を隠せないときもあるから」
「なんだそれ」
彼の発言の意味はよくわからなかったが、掘り下げることはせずグラスに残った液体を呷った。
結婚はもう決めたこと。あとは目的の遂行のために進むしかない。