俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
機長に先に行っていてほしいと告げ、俺の足は勝手に彼女のもとへ進んでいく。そして、ギョッとして逃げ腰になっている彼女を、有無を言わさず抱きしめた。
皆に見せつけるというのは、半分は口実。もう半分はただ、抱きしめたい衝動に駆られたからだ。
自分がどんどんおかしくなっていっている気がする。だが、つぐみには調子を狂わされる反面、そばにいるだけでとてつもなく安堵するのだと実感した。
その後、初めてふたりで食事をしに行ったレストランで、つぐみは突然奇妙なことを言い出した。俺の弱音をもっと聞きたいのだと。
怪訝する俺に、彼女は凛とした表情で自分の思いを話し始める。
「天澤さんがつらいときや疲れたとき、私が支えます。愚痴も聞くし、元気がなかったら笑わせてあげるし、話したくないときは黙ってそばにいます」
どこまでも健気な彼女に、俺の心は大きく揺さぶられた。そんなふうに言われて、嬉しくない男がいるのか。