俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

「もしそうなったら、千里さんが操縦する飛行機に私たちを乗せてくれますか?」


 今まさに考えていたことを問いかけてくるつぐみに、心が穏やかになるのを感じながら「もちろん」と返すと、彼女も頬をうっすら染めて嬉しそうにする。

 それが無性に愛しく感じ、本能に従って唇を重ねていた。柔らかな唇も、驚いた顔も、彼女のすべてに心を掴まれる感覚を覚えた。

 すぐにシートに身体を戻し、ほどなくして始まったプラネタリウムをぼんやりと目に映しながら、自分を叱咤する。

 なにをやっているんだ俺は……。憎んでいる男の娘にうつつを抜かしている場合ではないのに、余計想いが加速するようなことをするなんて。

 俺がやるべきなのは、大輔に会って心に蓄積した思いを吐き出すことだろう。結婚もそのためだったとつぐみが知ったら、いい加減に愛想を尽かすかもしれない。彼女に溺れるわけにはいかないのだ。

 スカイツリーを出たあと、帰りの車の中で互いの両親について話し、結婚の挨拶という体で大輔に会う意志を固めていた。

 つぐみも俺の父の墓参りに行きたいようだったが、つい強い口調で断ってしまった。彼女の気持ちはとてもありがたいのに、大輔の娘という事実が俺に歯止めをかける。
< 171 / 252 >

この作品をシェア

pagetop