俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 こんなふうにしていたら彼女を困惑させ、自分も苦しくなるばかりだとわかりきっているのに抑えられない。すべてどうでもよくなるほど、この子が欲しい。

 本能に任せて口内で交わっていると、ぐっと胸を押し返された。彼女の上気した頬と潤んだ瞳が艶めかしく、切なくて、胸がしめつけられる。


「なんで、こんな……私たち、ただの契約夫婦でしょう」


 今の状況に戸惑っているような声がこぼれ、冷静さを取り戻し始めた俺は淡々と「そうだな」と返した。

 つぐみにとっては理解できないだろう。ドライな契約結婚を望んでいた俺が、なぜ恋人のように独占欲を露わにしてキスをするのかと。

 怯えたような目をしていた彼女が表情を歪めていく。


「愛がないなら、もうしないでください!」


 憤りを露わにした声で吐き捨て、彼女は逃げるように助手席から飛び出した。

 案の定、怒らせてしまったか。去っていく背中を目で追い、俺はため息を吐き出しながら運転席のシートに深くもたれる。
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