俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
耽溺キャリーオーバー

 ……昨夜、旦那様とキスをした。

 普通の夫婦ではそんなの当たり前だろうけど、私たちにとっては当たり前じゃない。異常だ。

 あれからどう接したらいいのかわからず、結局避けるように部屋に閉じこもっていた。彼の唇の熱と扇情的な瞳が頭から離れなくて、よく眠れなかった。

 あんなに濃密で刺激的なキスをしたのに、私たちは愛で結ばれていないなんて。考えるたびにため息が出てしまう。

 今日は私が日勤、千里さんは午後からのフライトなので、顔を合わせないまま家を出た。オフィスに向かうエレベーターに乗り込むときにちょうど美紅さんと会い、冴えない私の顔を覗き込まれる。


「つぐみちゃん、クマできてるけど大丈夫? 昨日、飲み過ぎた?」
「あ、いや、飲み過ぎてはないです。ただ……」


 美紅さんにも食事会の話はしてあったので、そこに真柴さんも来て千里さんについてあれこれ言われたことを打ち明けた。もちろん、キスの件は伏せておく。

 彼女は「あ~、真柴さんね」と納得したように頷き、苦笑を漏らす。
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