俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

「天澤さんに嫉妬してるんじゃないかって噂よ。真柴さんは彼くらいの頃、うまくいかなくてプライドへし折られてたみたいだから。ふたりが組むと妙な圧迫感があるから、なるべく長時間のフライトのペアにはならないようにしてるって、スケジューラーの子が言ってたわ」
「そうだったんですか」


 そこまで気を遣われていたとは。仲よくしようよ……と思いつつ、私も口の端を引きつらせた。

 美紅さんは腕を組み、眉をひそめて続ける。


「昇格試験の教官になる機長に、真柴さんが天澤さんの評価を下げるようなことを言ってたら、心象は悪くなっちゃうかもね。まあ、さすがにそこまで大人げないことをする人ではないと思うけど」


 それを聞いて、一抹の不安がよぎる。

 昨日、千里さんがあんなに不機嫌だったのはそのせいもあるのかもしれない。私が真柴さんに言い返してしまったせいで、余計恨まれて千里さんへの風当たりが強くなったらどうしよう。

 悩むことばかりで、浮かない気分のままエレベーターを降りた。美紅さんは食事会の様子をもっと知りたがっていたので、また休憩のときに話すことにする。
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