俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
彼が私を妻として扱おうとしてくれていたのも伝わっている。
「千里さん、私の誕生日を覚えていたんですよ。フライト先で指輪を買っていてプレゼントしてくれたんです。あの人がそんなことをするとは思わなかったから、すごく嬉しくて……もう、涙が出るくらい嬉しくて」
つい三日前のことを思い出し、瞳に熱いものが込み上げてくる。あのときは、これからもっと千里さんの妻らしくなれると思ったのに。
「でも、彼はこの関係を終わりにしようとしているみたいです。指輪も深い意味はないのかも。買っちゃったからくれただけ、みたいな」
虚しい笑いがこぼれた。どんどん切なくなってきて、視界が滲んでいく。
「死ぬまで離れられないって契約だったはずなのにな……。私、こんなに好きになっちゃったのに」
想いを吐露した瞬間、一気に涙が溢れてきた。堪えきれず、ぼろぼろと落ちる雫が頬を伝う。
肩を震わせて嗚咽を漏らしていると、ふいに視界が暗くなり、身体を包まれる感覚がした。
泉さんが私を抱きしめている。その衝撃で一瞬涙が止まり、温かな胸の中で目を見開く。