俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
どうか後者であってほしい。そう願っていると、静観していた泉さんが小さく息を吐き出す。
「……千里がそこまで独占欲が強かったとはね」
張り詰めたものがなくなった声を紡ぐ彼に、私たちは同時に目をやる。
「ずっと意地張って、自分の本心に嘘をつき続けていてたらどうしようかと思ったけど、いいものを見させてもらったよ」
泉さんの表情には、してやったりというような笑みが浮かんでいた。もしや、千里さんの本心とやらを引き出すためにあえて挑発したのだろうか。
千里さんも気づいたらしく呆れた目つきに変わっているものの、不機嫌さは消えていない。「見物料、あとで払えよ」とぼそっと呟き、私の手を引いてエントランスへと足早に向かった。
部屋に入ったら話し合いをしなきゃ。千里さんはなにを隠していて、私とのこれからについてどう考えているのか。すべてを明らかにしたい。
そうするつもり、だったのに。
「ぁ、待って……んっ」
玄関のドアを閉めた直後、荒々しいキスが降ってきて話し合いどころではなくなっていた。
想いを自覚したあとでこんなふうにされたら、恋心がさらに加速してしまう。彼の唇に翻弄されそうになるも、なんとか胸を押し返す。