俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
呼吸を乱しながら、眉を下げて本当に困るのだと訴える。
「言ったじゃないですか、愛がないならやめてって──」
「あるよ」
空耳かと疑う三文字が聞こえ、私はこれでもかと目を見開いた。
ある……って言ったの? 本当に?
真剣な眼差しに射抜かれ、胸の奥でドクンと大きな音が鳴った。次の瞬間、彼は私を軽々と抱き上げて廊下を進んでいく。
連れてこられたのは千里さんの部屋。初めてこのマンションに来たとき以来のベッドに下ろされ、私と覆い被さる彼の重みでマットが沈んだ。
シーツに私の両手が縫いつけられ、心臓が壊れそうなほど激しく脈打つ。
「愛があるかどうか、これから全身で確かめろ。嫌なら振り解け」
前髪が垂れる彼から、情欲が溢れ出している。押さえられている手の力は至極軽いものなので、簡単に振り解けるだろう。
でも、そんなことできるわけない。彼からの愛を確かめずに逃げるなんて。
「ほんと、ずるい……」
力ない声がぽつりとこぼれた。私に抵抗する気がないと悟ったであろう千里さんは、ゆっくり顔を近づけ、今度は愛でるように唇を重ねる。