俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
──食事を終え、重そうな口を開いた千里さんから語られたのは、微塵も予想しなかった事実。
意を決して聞いていたのに、頭を殴られたようなショックを受けた。
「私のお父さんが……?」
誤った記事を書いたことがきっかけで、千里さんのお父様が非難されて業務にまで支障をきたし、それきり空を飛べないまま亡くなってしまった。
それに対して父はなんの謝罪もしていない。千里さんが恨みを持っても仕方ないと思えた。
この間私がミスをしたときも、ヒューマンエラーを起こした場合に周りからどれだけ責められるかをわかっていたから、二度とそうならないようにあえてきつい言葉をかけたのかもしれない。
千里さんが抱えていたものを知って愕然とする私に、彼は暗澹たる面持ちで打ち明ける。
「つぐみとの結婚を決めた理由のひとつは、お前があの記者の娘だったからだ。彼に会って、あのとき父がどんな目に遭ったかわからせてやりたかったし、彼の大切なものを奪ってやりたかった」
ああ、だから父に挨拶をしなきゃいけないと話したとき、迷わず『会う』と即答したのか。