俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「でも、どうしても消化できそうにないんだ。この気持ちのまま夫婦生活を続けてもしこりは残るだろうし、やっぱり親父さんに会ってけじめをつけなきゃいけないと思ってる」
視線を上げる彼は、意思を固めた様子だ。
「今はただ、心からの謝罪の言葉がもらえたらそれで納得できると思う。でも、彼の出方次第ではもっとこじれる可能性もある。万が一、そうなった場合は──」
そこで一旦区切られたとき、私は次に続く言葉がなんなのか察し、咄嗟に口を開く。
「嫌です。別れたくない」
震える声で放つと、千里さんは少しの驚きを含んだ瞳で私を見つめる。
昨日、彼が玲香さんに言っていた『終わりにする』の意味はこれだったんじゃないだろうか。父との関係が修復できなかった場合、これ以上私を巻き込まないために離れるつもりなのかもしれない。
だけどそんなの、簡単には受け入れられない。
どうしようもない不安と寂しさに襲われて俯く私に、柔らかな声が投げかけられる。