俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
葛藤テイクオーバー
つぐみにすべてを話した翌日の午後七時、俺は仕事終わりの泉といつものバーラウンジにいた。彼女は遅番なので、まだまだ帰ってはこない。
薄暗くシックな雰囲気のカウンター席に座って、ジントニックを口に運びながらつぐみに打ち明けたことを話した。泉もグラスを傾けつつ小さく頷く。
「夫婦関係の行く末は、例の件が解決するかどうかに懸かっているわけか。確かに、結婚って当人同士だけの問題じゃないから難しいよな」
泉が共感してくれて、少しだけ救われた気分になる。
車の中でキスをして、自分の想いを押し殺すのは限界だと悟ったあの日以来、どうするべきか葛藤していた。
その結果、今さらだがつぐみに対して少しでも誠実であるには、やはり自分が隠しているものをすべてさらすべきではないかと思い至った。
父の件とそれに絡んだ目的も、つぐみを愛していることも全部明かした上で、彼女が受け入れてくれるなら大輔に会ってけじめをつけようと。
もちろん、別れたいなどとは思っていない。先日、宮路に呼び出されて話をしたときに『終わりにしようと思ってる』と言ったのは、契約の上に成り立った関係を終わらせるという意味だ。