俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
『俺たちは互いの利益が一致した契約結婚だったが、そんな関係はもうやめることにした。本物の夫婦になりたいと願うくらい、あいつを本気で愛したから』
続けてはっきり告げると、宮路は一度大きく目を見開いたあと、観念したようにまつ毛を伏せたのだった。
なんの思惑もない、ただの〝愛し合っている夫婦〟になりたい。俺たちの想いが同じであることも確認した。あとは、自分の中のしこりを取り除くだけ。
つぐみの両親に挨拶をすると決めた日は四日後。和解するよう努めるつもりだが、実際に会って大輔に対する自分の気持ちがどう転ぶかは正直わからない。
解決しなかった場合、つぐみは対立する俺たちを見て今以上に苦悩するだろう。それでも彼女を手放す気はない俺は、本当に無慈悲だと思う。
複雑な心境で物思いに耽っていると、「恋愛で悩んでる千里はレアだし人間味があっていいね」と、泉の呑気なひと言が飛んできた。
今のは一応恋敵である俺に対しての嫌味だろうかと思いつつ、ゴトリとグラスを置いて苦笑を漏らす。