俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「……こんなにあいつを好きになるとは予想外だった。飛行機を操縦してるときですら、どうするのが正解かわからなくなったり、取り乱したりなんかしないのに」
情けないと自嘲するも、泉は意味ありげに俺を一瞥して優しく微笑む。
「たぶん千里は、最初からつぐみさんに惹かれてたんじゃないか。自分では気づいていないんだろうけど」
それは思いもよらない意見だが、目から鱗が落ちたようだった。
あながち外れてはいないのかもしれない。つぐみと話すのは以前から楽しかったし、目的のためとはいえ、すんなりと結婚を決められたのは少なからず好意を抱いていたからだとも言える。
案外俺も単純だなと呆れるも、口では「どうだか」と返した。
泉は本当に周りがよく見えている上に、人の気持ちも推し量れる男だ。加えて顔もいいものだから学生時代から人気だったし、つぐみがこいつに心を奪われなくてよかったと安堵する。
先ほど、泉はどれくらいつぐみを好きだったのかを聞いたら、『あともう少し千里がうだうだしてたら、本気になっていただろうね』と答えたのだ。危なかった。