俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
そのとき、ふと宮路とのやり取りを思い出す。階段の踊り場で、つぐみを愛していると俺が明かした直後のことだ。
『そうですか……。じゃあ、柊ちゃんも失恋確定かな。つぐみちゃんとうまくいってほしかったんだけど』
諦めた様子で、寂しげに笑う彼女を見てピンときた。自分の失恋より泉を気にかけているところに、ただならぬものを感じたから。
『宮路が好きなのって、俺じゃないだろ』
淡々と指摘すると、宮路はキョトンとしたあと、『えっ!?』と身体を引く勢いで驚いた。自分の想いに気づいていなかったかのように。
『泉の気持ちを知っていたから、俺とつぐみが別れればいいと思ったんじゃないのか? 自分じゃなくて、あいつのために』
〝泉が好きだから〟とはあえて言わなかったが、ちゃんと伝わったらしい。
『そっ、そんなんじゃありませんよ! 柊ちゃんはただの幼なじみで、好みのタイプじゃないですし! あんな真面目で誠実な人、私に合うわけないですって~あははは』
などと、顔を真っ赤にして激しく動揺していた。なんともわかりやすい。