俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
二日後の朝は、つぐみとほぼ同じ時間に家を出るスケジュールとなっていた。朝食と準備を済ませ、一緒に玄関へと向かいながらつぐみが言う。
「今日は日帰りの国内線なんですね」
「ああ。夜、バーで飲む? 明日休みだし」
泉とよく行くあのバーに、つぐみも行きたいと言っていたのでなにげない調子で声をかけた。ところが、「明日……」と呟いた彼女の表情に影が落ちる。
明日はつぐみの実家へ挨拶をしに行く日だ。例の件がどうなるか心配なのだろうと、すぐに気づいた。
不安にさせてしまって心苦しく思うも、俺の口から出るのはいつもの冷たいセリフ。
「余計なこと考えてるとまたミスするぞ」
「っ……大丈夫です! 安心して飛んできてください!」
はっとした彼女は、しゃきっと背筋を伸ばして力強く宣言した。必死なところも可愛らしく、俺は笑みをこぼして彼女の頭にぽんと手を置く。
「お前も、安心して待ってろ」
俺たちが離れることはないと安堵させたくて言うと、つぐみの表情がほんの少し明るさを取り戻す。
俺自身もそう信じ、どちらからともなく唇を寄せ合った。