俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
沖縄への往路は、盆休みが明けてもシーズン真っ只中のおかげでほぼ満席。天気は生憎の雨模様だが、コックピットから見える搭乗する客は皆楽しそうな笑顔だった。
一方、俺の心はこの天気と同様にどんよりしている。今回のペアが真柴さんだからだ。
とはいえ、互いに仕事中はそれに専念するのみ。多少の気まずさはあれど問題ない。今も、沖縄から出発する前のブリーフィングを淡々とこなしている。
那覇空港の運航管理者が、フライトプランを手に重要事項を説明する。
「お客様の中に車椅子の方とお連れ様がいらっしゃって、化粧室のそばの座席にしてほしいとのご希望がありました。それによって重量のバランスを変更したのでご確認ください」
「わかりました」
飛行機は常に重心の位置を維持していないと安定した飛行ができないため、乗客と貨物の重量のバランスはとても重要だ。車椅子の乗客についても、緊急時の対応のために頭に入れておかなければいけない。
真柴さんと共に問題ないことを確認すると、彼が乱気流の情報について詳しく尋ねる。それは当然なのだが、必要以上に懸念している気がして引っかかった。