俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 美紅さんはそれを受け止め、私を元気づけるように微笑む。


「天澤さんが『手放す気はない』って言ってくれたなら、それを信じようよ。彼って厳しいけど、嘘をつく人ではないでしょ」


 その言葉にはっとした。

 確かに、彼は冗談を言ったりからかったりはしても、嘘をついたことはほとんどない。結婚を決めたときも、お父様の件を隠していただけで表向きの理由も間違ってはいなかったし。

 千里さんは意外とまっすぐな人なんだと、今さらながら気づいて少し気分がラクになる。自分を納得させるように頷いて、美紅さんに「そうですね」と笑みを返した。



 休憩後、大雨による視界不良で若干の遅延が発生し、その対応に追われている最中、耳を疑うような情報が飛び込んできた。


「NA185便がエンジン火災!?」
「メーデーを宣言したって。危険な状態だぞ」


 社員たちから上がった声を聞き、一瞬頭が真っ白になる。NA185便は沖縄から羽田に戻ってくる便……千里さんと真柴さんが乗っている飛行機だ。

 隣にいた美紅さんも珍しく動揺を露わにし、愕然とする私の肩にそっと手を置いた。かける言葉が見つからないかのように。
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