俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「私、ずっと天澤さんのお世話になるつもりはありませんから安心してくださいね。生活できるくらいのお金が貯まったら出ていきますから、それまでの期間限定の契約結婚ということで──」
「終身」
彼の口から飛び出した予想外の単語に、私はぽかんとする。
「え」
「終身契約。死ぬまで離れられないなんて鬼畜かつロマンチックな縛りで、蒼麻は好きだろ」
ソファの背に肘をついた彼が面白がるような視線を寄越すので、「私ドMじゃありませんから!」と鼻息を荒くして返した。
終身って、この人は私を一生縛りつけて楽しもうとしてるんだろうか。だとしたら、いろんな意味でヤバい人では……。
顔が引きつっているのを自覚しつつ、懐疑的な目をして確認する。
「本気で終身契約にする気ですか? もしや代わりに不倫は認めるとか、そういうゲスな条件が……」
「あるわけないだろ。不倫なんかしたら、それこそ周りが騒ぎ立てて面倒になるに決まってる。同じ理由で離婚もナシ」
きっぱりと断言され、私は呆気にとられた。
確かに彼の言い分もごもっともだが、本当に生涯の相手を今決めてしまっていいのだろうか。