俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

「お前はどうだ?」


 悶々としていた私は、そう聞かれて「天澤さん以外の人と、結婚……」と呟き、今度は自分自身について考えを巡らせる。

 お相手は将来有望な副操縦士、しかもイケメン。誰もが羨む超優良物件な彼に、終身契約で結婚を提案されている。こんな機会は皆既日食くらい滅多に訪れないことだ。

 過去に付き合った人もひとりだけだし、容姿も平凡な私は決してモテるタイプではない。この機を逃したら、こんなにいい条件の結婚のチャンスは二度と巡ってこない可能性が高い。

 総じて、天澤さん以外の人と結婚なんて……。


「できる気がしません」
「契約成立、だな」


 白旗を挙げる私に、彼は満足げな笑みを浮かべた。

 視程は500。五百メートル先も見えにくい視界不良な状況、といったところだろうか。

 先行き不安なドSコーパイとの奇妙な夫婦関係は、こうして始まりを告げた。


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