俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「つぐみちゃん、最近疲れてない? ため息ついてること多いよ」
「あはは……ダメですよねぇ。プライベートでちょっと、ゴタゴタがあって」
「なによ、親のこととか? あ、宅飲みしてゆっくり話そうよ~。つぐみちゃんが引っ越してからまだお邪魔してないし。滋養強壮にいい薬用酒持っていくから」
苦笑交じりに濁したものの、美紅さんは楽しそうにそんな提案をしてきた。彼女はお酒が大好きで、私も一緒に飲みに行くのは好きなのだが、宅飲みとなるといろいろと問題がある。
いずれ美紅さんにはすべて話すつもりでいたし、相談にも乗ってもらいたいから今打ち明けてしまおうか。ただ、この場所では誰に聞かれるかわからないので、前屈みになって顔を近づける。
不思議そうな顔で同じく前屈みになる彼女に、「新居の件なんですけど……」と小声で切り出した、そのとき。
「あっ、美紅~!」
歌うような声が私の後ろから聞こえてきた。目線を上げた美紅さんはやや落胆した表情になり、「うるさいのが来たわね」と呟く。
振り返った私が捉えたのは、日本アビエーションの制服を着た目鼻立ちのはっきりした美人。CAであり美紅さんの同期の、宮路玲香さんだ。