俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
遠慮なく隣に座った宮路さんは、私に営業スマイルを向ける。
「ごめんね、お邪魔して。あなたは、えーっと……当麻さん」
「蒼麻です」
「惜しい!」
自分でそう言って顔をくしゃっとさせる彼女に、思わず笑ってしまった。
確かにセレブ女子だし、高飛車なところもあるので敵も多そうだが、子供みたいに無邪気な性格は私も嫌いではない。美紅さんも『最初は〝なにこの女〟って思ったけど、弄り甲斐があるって気づいたのよね』と言っていた。
宮路さんの扱いを熟知している美紅さんは、さほど興味もなさそうに言う。
「高級志向の玲香が、地味な社食に来るなんて珍しいじゃない」
「そりゃあ、たまには庶民派の味も恋しくなるわよ。これからロンドンへフライトだし、質素なくらいがちょうどいいの」
宮路さんはふふんと答えて、カラフルなサラダをぱくぱくと口に運ぶ。意外と食べるスピードが早くどんどん平らげていくので、痩せの大食いなのかもしれない。
そんな彼女は、突然思いを馳せるように宙に目線をさ迷わせる。
「ヒースロー空港にアプローチするときの夜景って、めちゃくちゃ綺麗なのよ~。それを見られたらテンション上がるのは間違いないし、なんかうまくいきそうな気がするのよね」
「なにが?」