俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「でも、親バカなお父さんがうるさいんじゃなかったっけ。誰のものにもなってほしくないけど、結婚はすすめられるんでしょ」
「わー、厄介なヤツね」
宮路さんも顔をしかめるので、私は「そうなんですよ」と脱力気味に頷いた。
父の気持ちもわからなくはないが、娘からしたら矛盾したその言動は本当に迷惑でしかない。まあ、もうすぐそれから逃れられそうなのだけど。
まさか天澤さんと結婚することで父におとなしくなってもらおうとしているとは、ふたりは想像すらしないだろう。
「誰か紹介してあげよっか? 大手企業の御曹司、医者、弁護士、いろいろ伝手はあるわよ。相手がエリートならお父さんも納得してくれるんじゃない」
さすがいろいろなパイプを持っているであろう宮路さんは、厚意でそんなふうに言ってくれる。しかし、すでにお相手は見つけているのだ。
いろんな意味でとても申し訳ない気持ちになりつつ、明るく笑ってみせる。
「だ、大丈夫です! 私、紹介とかちょっと苦手で……せっかくですが、すみません」
「そっか。まあ、気が変わったらいつでも声かけて」