俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
にこりと笑いかける宮路さん、やっぱり根はいい人なのだと思う。でも、想い人を私が取ったと知ったらどうなるだろう……噛み殺されるかも。
恐怖と罪悪感で冷や汗が止まらない私に、美紅さんが意味ありげに微笑む。
「つぐみちゃん、自分では気づいてないかもしれないけど、可愛いし頑張り屋だし人気なのよ? 男が多い航務課では女子は可愛がられるとはいえ、その中でも特に」
予想外の話に、私はキョトンとした。
確かに男性陣は皆優しく接してくれているが、あか抜けない私がそういう対象で見られているとは信じがたい。むしろ人気があるのは美紅さんのはずだと、私は軽く笑い飛ばす。
「またまた、美紅さんのほうが人気があるに決まって──」
「宮路」
話を容赦なく遮る低い声が聞こえ、ギョッとして口をつぐんだ。この声は、最近よく聞いているから間違えようがない。
そろそろと振り向くと、やはり天澤さんが無表情で見下ろしていた。私は息を呑み、宮路さんは猫のような目を大きく見開いている。
「天澤さんっ……」
「お前の上司がいるぞ。探してるんじゃないか?」
彼が顎で示すほうを見ると、一般のCAとは違う色のスカーフを着けた女性が食堂内を見回している。おそらくチーフパーサーだろう。