俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
本気かどうかはわからないが、女なら誰でも抱ける、とか言ってたしな……。不倫はダメだと約束したとはいえ、まだ籍を入れていない今ならセーフなんだろうし。
「……嫌だ」
本音をぽつりとこぼして、鼻の下までぶくぶくとお湯に浸かった。
やっぱり嫌でしょう、結婚する相手がほかの異性と関係を持つなんて。私たちに恋愛感情はなくても、モラルの点でアウトじゃないだろうか。これについては天澤さんも同じ考えであってほしい。
ぐるぐると思考を巡らせていたらのぼせそうになったので慌てて上がり、気分転換するべくいまだに節約のために買っている第三のビールを喉に流し込んだ。
翌日も天澤さんからはなんの連絡もないまま仕事を終えて、だいぶ慣れてきた麻布への帰宅ルートを通る。台風が近づいているため、空はどんよりしていて風も若干強い。
明日の仕事は大変そうだ。台風の影響を予測して遅延や欠航が発生したら、それに応じて飛行ルートを変更したり、刻々と変わる気象情報をパイロットに伝えなければならない。
ひとつの飛行機を飛ばすために様々な部署が関わっているため、各方面と連携しないとすべての便がどんどん遅れていってしまう。イレギュラー時にやるべきことは普段の比ではなく、まさに地獄なのだ。