俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
一階には歓談スペースとしてラウンジが設けられている。天井が高く手入れの行き届いた中庭も見え、開放感のある造りだ。ソファに向かい合って座り、さっそく話しだす。
「天澤さん、私とのいきさつを打ち明けていたんですね。一体どこまで……?」
「だいたいは聞いています。火事の被害に遭っただなんて大変でしたね」
泉さんは気の毒そうに言った。おそらく、私たちが結婚するつもりだということも知っているのだろう。
天澤さんとそんなに仲がいいとは意外だなと驚いていると、彼は一度瞼を伏せて苦笑を漏らす。
「いや、今後のほうがもっと大変か。あいつがまともな結婚生活を送れるとは思い難いから」
「私もまったく同じことを思っていました」
真顔で答えると、泉さんはおかしそうに笑った。そして、すぐ真剣な表情になる。
「パイロットの試験前は勉強以外は二の次だし、フライトに出れば連絡も寄越さないからステイ先で誰となにをしているかもわからない。そんな男の奥様になる人は気苦労が多そうで。蒼麻さんはそれも承知で結婚を承諾したんでしょうから、心配いらないかと思いますが」