俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
彼の言う通り、ただお互いに都合がいいから結婚するだけで、天澤さんと一般的な夫婦と呼べる関係にはなれないと最初からわかっていた。そうなるつもりもなかった、はずなのに。
「……全部承知していたし、覚悟もしていたはずなんですけどね」
私はまつ毛を伏せ、自嘲気味の笑って本音を吐露する。
「いざ同居してみたら、ただ同じ部屋に住んでいるだけで干渉し合わない関係って、ラクなんだろうけどすごく寂しいなって気づいたんです。私は連絡がないと不安になるし、歩み寄りたいし、天澤さんが今女の人といるのかもって思うともやもやするけど、そういうのが全部必要ないなんて」
話しながら気持ちを整理できて、自分が寂しがっていることを強く実感した。一緒に暮らしている以上、私は天澤さんと夫婦と呼べる関係に近づきたいんだと。
「割り切った関係を築けると思っていたのに、人並みの結婚生活がしたいって願う自分が出てきて、ほんと困っちゃいますよ。まだ十日くらいしか経ってないのに。契約結婚に向いてないんですね、私」
明るい口調で自虐して、渇いた笑いをこぼした。
普通の結婚に向いていない天澤さんとは真逆だ。こんな私たちがうまくいくわけがないのかもしれない。