俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 私は美紅さんの指示通り、刻々と変わる気象情報を常にチェックしてチーム内で情報を共有している。


「台風の移動速度、予測よりちょっと遅いですね。暴風域を抜けるまで一時間以上かかりそうです」
「今、国際線は出発時間を遅らせることが決まったわ。担当と連絡取ってくれる?」
「わかりました」


 モニターで台風の状況を見ながら話し合っていると、飛行中のパイロットから無線が入る。美紅さんは彼らから聞かれる風や滑走路の状況をその都度説明していて、とても忙しない。

 私も作業工程管理の担当者に連絡しようとしたとき、後ろのほうで部長たちが話す声が聞こえてくる。


「これから羽田に着く便も上空待機を指示されるだろうな。空が混み合いそうだ」


 その中には、天澤さんたちが乗るロンドンからの便も含まれている。ところがヒースロー空港付近も天候が悪かったため、予定より一時間遅れての出発となったと情報が入っている。

 無事に帰ってきてほしい。心の片隅にその思いを忍ばせ、目の前の業務に集中した。

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