俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
そのひと言に、私は慌てて首を横に振った。
〝他の人とは結婚できない〟って、好きで好きで彼しか考えられないとか、そんな甘い意味じゃないですから!
「いや、決してそういう意味では!」
「利害がばっちり合ったってことでしょう。なら、それも運命よ。ずっと一緒に生活していくなんて誰とでもできることじゃないんだから」
落ち着いた笑みを浮かべる彼女の言葉が、ストンと胸に納まった。確かに、愛し合ってはいなくても、生涯を共にする約束ができる相手というのはそうそう巡り会えるものではない。
天澤さんとは縁があったってことなのか……と、しみじみ感じながらスープのカップを手にすると、美紅さんは意味深な瞳を向けてくる。
「でも、それじゃあっちのほうはどうするのよ」
「あっち?」
「セックス」
前屈みになった彼女の口から赤裸々な単語が囁かれ、動揺しまくって危うくスープをこぼしそうになった。
スープ以上に全身が一気に熱くなり、カップを置いてしおしおと俯く。
「はっきり言いすぎ……」
「大事なことでしょ、離婚しないならなおさら。性欲がまったくないとか、子供はいらないとかならいいけど」