俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
先日のロンドンへのフライト以来、彼女は連休のはずだから私も美紅さんも会っていない。天澤さんの話を聞いた限りでは結構ショックを受けたんじゃないかと思うので、若干メンタルが心配だ。
同乗していた他のCAたちも同様に休み中だから、空港で私と天澤さんが抱き合っていた場面を目撃されていたとしてもまだ噂にはなっていない。
彼女たちが出勤してきたらどうなることやら。宮路さんも、彼の結婚相手が私だと知ったら黙っていないだろうし……。
この先、波乱の予感しかしなくて頭を抱えたくなる。
「乱気流に巻き込まれそうです……」
「大丈夫よ。つぐみちゃんは奥様になるんだから、堂々としていればいいの」
軽く笑った美紅さんは、いつの間にかランチを食べ終えていて婚姻届にサインし始める。丁寧に印鑑も押したそれを、私に戻してにこりと微笑む。
「おめでとう。結婚祝いに奢るから、今夜は飲むわよ! 旦那様に連絡しておいてね」
「美紅さぁん……ありがとうございます!」
元気を与えてくれる先輩に感謝しきりで、私はしっかりと頭を下げた。
婚姻届を提出するのは明日。すべての欄が埋まったそれを眺め、もう後戻りはしないと気持ちを引き締めるのだった。