BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
どうしよう。初めは恥ずかしさのあまりいやいや首を振っていたのに。
本当は触れてもらえることが嬉しくて、近くで体温を感じられるのが嬉しくて。千広くんがいざ身を引こうとすれば、つい、
──『やめるのも、だめ、千広くん……』
離れていく熱を追いかけてしまって……。
うわあああっ、どうしようどうしよう、
気持ち、ばれちゃったかも……っ。
だって、うろ覚えだけど意識が落ちる前に「ずっと大好き」って口走ってしまった気もする。
お願いだから夢の中の出来事であってほしい。
思い返すだけで恥ずかしいよ……。
でも、こんなに近くにいられるのは今だけかもしれない……と。
となりで静かに眠る千広くんを見て胸がぎゅうっと締まって。
眠ってるならわたしが何してもヘンに思われない、かも……なんて。こんなところで魔が差した。
手を伸ばして、千広くんの腕にそっと抱きついてしまった──矢先に。
「あやる、だれと間違えてるんだ」
響いた低い声。心臓が大きく跳ねる。