BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
誤って渡した僕の特製薬を飲んでも、顔色1つ変わらないし……ね。
あの家は、千広君を“そうなるように”育てた。
幼い頃から、いったいどれだけの苦難を強いられたのか。
恐ろしいなあ、と改めて背筋がぞくりとする。
──まあ、今はそれよりも。
「るーちゃんと千広クンの関係、気になるよね〜っ」
目で僕を急かすふたりに、にこっと笑いかける。
千広君にぞっこんな開吏はもちろん、絹君も、だ。
珍しいことに、絹君はたぶんるーちゃんを気に入ってる。
ダウナーな絹君。
QUEENが入れ替わるたびに“その気”は見せつつ、実際は女の子個人には、微塵も興味がない。
視線、言葉遣い、表情。
些細な差ではあるけど、るーちゃんへ向けるものが他の子とは違う。
……興味がある、みたいだけど。
それは、千広君が構う女の子だから、なのか。
それとも個人的に惹かれるものがあるからなのか。今はまだわからない。