BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
冷静に考えればそうだ。
今までの千広君を見ていればわかる。松葉千広が誰かに情を抱くこと。
想像すらできない。
「つまり、るーちゃん──安斉あやるに千広君が構う理由は、何かに利用しようとしていると考えるのが妥当だね〜」
黙って話を聞いていた開吏に目を向ける。
「ってことだよ。ちょっとは安心した?開吏」
「……納得です。利用されてるモブ子先輩が可哀想にすらなってきましたよ」
へらっと笑って席を立つ開吏。
「オレちょっと飲み物買ってきます」
もやもやが晴れてすっきりした、という感じで部屋を出ていく。
そうだよね、自分でも改めて納得した。
──松葉の人間は人を愛せない。
この街では、昔から有名なハナシ。