BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-

「ひゃ……、」


はだけた制服から、胸元が露わになってしまう。

ぐわっと熱が集まって動作を止めたわたしに、千広君くんがすかさずブランケットを押し付けた。


咄嗟に掴んで引き上げようとした……のだけど。



「………あ、」


恥ずかしさのあまり指先が震えて、大事な布を、またもや手放してしまう始末。

どうしたことか、今度は千広くんも一緒に固まってしまった。



「み、見ちゃだめ……」


パーにした両手を伸ばして、相手の視界を遮ってみたつもり。

数秒後。なにか低い囁きと同時に、呆れたような深いため息が聞こえて、喉の奥がぎゅっと締まった。


………怒った?


「ごめん、なさい」


反射的に零れた、謝罪の言葉。



「なにが」

「……え」

「自分のなにが悪いか、ちゃんと分かってんの」

「……」

「無防備でごめんなさい、だろ」



千広くんの視界をガードしていたはずの手が、あっけなく引き剥がされた。
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