BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-

指先が移動するたびに、どき、と心臓が跳ねる。

枕元にあったわたしのスマホを拾って、それをそっと握らせる。言葉とは裏腹なやさしい手つきに戸惑った。


画面に表示されていたのはヒナタちゃんの名前。



「男?」


画面をタップしたのとほぼ同時、ギシ…とすぐそばに手をつく気配がして。

距離を詰めてきた千広くんと肩がぶつかり。



『あやるちん!!』

「わっ!? ヒナタちゃ、」

『夜電話するねって言ったでしょ! あのね、ずっと送ろうと思ってたの今から送る〜!』

「お、送るとはなにを」

『ふふふ、QUEENの心得ってやつですよ。あやるちんが好きそ〜な作品集めてみたから全部見て、イイ女になるんだよ?』



一方的に喋るだけ喋って、ヒナタちゃんは通話を切ってしまった。
< 166 / 309 >

この作品をシェア

pagetop