BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
指先が移動するたびに、どき、と心臓が跳ねる。
枕元にあったわたしのスマホを拾って、それをそっと握らせる。言葉とは裏腹なやさしい手つきに戸惑った。
画面に表示されていたのはヒナタちゃんの名前。
「男?」
画面をタップしたのとほぼ同時、ギシ…とすぐそばに手をつく気配がして。
距離を詰めてきた千広くんと肩がぶつかり。
『あやるちん!!』
「わっ!? ヒナタちゃ、」
『夜電話するねって言ったでしょ! あのね、ずっと送ろうと思ってたの今から送る〜!』
「お、送るとはなにを」
『ふふふ、QUEENの心得ってやつですよ。あやるちんが好きそ〜な作品集めてみたから全部見て、イイ女になるんだよ?』
一方的に喋るだけ喋って、ヒナタちゃんは通話を切ってしまった。