BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
返答に詰まる一瞬の隙を目敏く見つけて、それはぎらりと光る。
「てゆかびっくりした。まさか安斉がQUEENとはね。あいつらの玩具になり下がっちゃって、ま~、可哀想に」
気づいたときには吐息がかかる距離にいた。
「黒帝のバカな女共は喜んで身を差し出すだろうけど、安斉は違うもんね。オレは知ってるよ」
すぐに逃げ場がなくなって、ひやりと冷たい壁に背中がぶつかる。
「ねえ。安斉はせっかく“まとも”だったのに、なんで黒帝なんかに残ったの?」
大河くんはゆっくりと瞬きをした。
直後に注がれたのは、哀れみと蔑み。
「“家族に捨てられたから” ? ……“ もうここにしか居場所がないから仕方なく ”?」
「っ──」
「心配しないで、だいじょーぶ。居場所はオレがいくらでも作ってあげる。こんな腐りきった場所にいるべきじゃないよ、安斉は」
景色が波打って見えた。